触診や画像の検査で良性が否定できない場合は「細胞診」や「組織診」を行います。
この検査は病変の細胞を採取してこれをⅠ〜V段階に分類して、がんのある疑いの強さを示しています。ⅠとⅡは良性、Ⅲはがんを否定できない、Ⅳはがんの疑い、Vはがんという分類を行います。
細胞診の結果はあくまでも良性か悪性の判断で、病気分類(ステージ)とは関係ありません。また最近はこのように数字で表すのではなく「正常あるいは良性」「鑑別が難しい」「悪性の疑い」「悪性」と示すようになっています。
細胞診には「穿刺細胞診」と「分泌細胞診」の2つの方法があります。
手で触れるしこりに細い針を刺し、組織の細胞の一部を吸い取って調べる方法です。
またしこりが触れない場合は、超音波でしこりの位置と針先を確認しながら細胞を取ることもあります。(超音波ガイド下穿刺吸引細胞診)
通常、麻酔は使用しないで検査を行います。
乳頭から分泌物が出ている時に、この分泌物をガラスの板に付けてその中にある細胞を調べる方法です。
細胞診は取れる細胞が少ないため情報量も少なく、時に判断が非常に難しい場合があります。したがって細胞診だけでなく視触診や画像検査などの結果を含めて総合的に悪性かどうかを診断します。判断が難しい場合や、細胞診で良悪性がはっきりしない場合はさらに「組織診」を行います。
「組織診」は気になる病変の細胞を塊まりで取ってくるので、細胞診よりも確実に診断することが出来ます。しかし局所麻酔を必要とし、体にかかる負担もやや大きい検査です。組織診には「針生検」「画像ガイド下吸引式針生検(ステレオマンモトーム)」「摘出生検」「切開生検」などがあります。
細胞診より太い針を使用します。そのためにまず局所麻酔を行った後、手で触れるしこりや、超音波でしこりと針先を見ながら気になる病変の組織を採取します。また針生検よりさらに太い針を刺して自動的にしこりの組織を吸引する「吸引式針生検」を行うこともあります。
超音波ではしこりとして見えないが、マンモグラフィで微細な石灰化を認めることがあります。ときにこの微細な石灰化の中にがんが潜んでいることがあります。この超音波では見えず、マンモグラフィで見えるという状態がある時にこの生検法を行います。
具体的には台の上でうつぶせになって寝た状態で乳房をマンモグラフィで撮影する時と同じように板で挟み、石灰化の位置を特定してから局所麻酔をおこない、この部分の組織を針で採取する方法です。組織を採取後に採取した部分に目印の約2mmの小さなクリップを挿入します。検査時間は約30〜60分かかります。
手術室で行う検査法です。局所麻酔を行った後に外科的手術で、しこりを全て取り出すのが「摘出生検」で、しこりの一部を取り出すのが「切開生検」です。針生検と比較すると傷も大きくなり、また体に対する負担も大きくなります。