手術後の治療
手術後の病理検査の結果で何がわかりますか?
あなたの癌の性質と再発の危険性がわかります。
手術後の病理検査とは、手術で取った腫瘍やリンパ節を薄く切って顕微鏡でよく調べる検査のことです。 がんの種類や広がりや性格、リンパ管の中にがんがあるかなどを調べます。また、女性ホルモンに対する感受性があるかないか、HER2(ハーツー)という蛋白に感受性があるかどうかも調べます。リンパ節は何個のリンパ節にがんがあるかを調べます。これらを調べることによって、再発の危険がどの程度あるかを推定することができます。またとった腫瘍を5mm〜1cm間隔で端から切り、その切り口を(断面)を調べ、癌が取り切れたかどうかを判断します。切除した端(断端)にがん細胞がない場合(断端陰性)は追加手術は必要ありませんが、端にがん細胞がある場合(断端陽性)は追加治療をお勧めしています。
非浸潤がんの場合、手術の後はどのような治療になりますか?
非浸潤がんはがんがまだ乳管(ミルク=乳汁を通す管)内にがん細胞が留まっている状態のもので、転移などを起こさないおとなしい乳癌と言われています。手術できれいに取りきれればほとんど再発しません。術後は再発が起こらないよう、放射線治療やホルモン治療を行うことがあります。
浸潤がんの場合、手術の後はどのような治療になりますか?
浸潤がんとはがん細胞が乳管の壁を超えて乳管の外にひろがったがんのことで、がん細胞が外にある血管やリンハ管の中に入り込んで全身に転移をする可能性があります。手術の後は、全身に行きわたって効果を発揮する抗がん剤治療やホルモン療法が治療の中心になります。また、乳房温存術を行った方には放射線治療を行うことがあります。
リンパ節転移の有無や個数、ホルモン感受牲やHER2感受性の状況で術後のお薬を用いた治療方針を決定します。
なぜ再発予防の治療が必要なのでしょう?
手術によって目に見える「がん」は取り除かれます。しかし、目に見えない小さながんは、体に残っていても見つけることができません。それが時間とともに大きくなり「再発」となって現れることがあります。いったん手術したところから離れた臓器に再発すると、抗がん剤などを使ってもがんをきれいに消し去ることはとても難しくなります。
再発の危険性がやや高いときには再発予防の治療をお勧めしています。手術だけで治る可能性が高いときは、再発予防の治療は必要ありません。