リンパ浮腫について
リンパ浮腫とはどのようなものですか?
わきの下のリンパ節郭清を受けた方は、リンパの流れが悪くなりむくみが出る可能性があります。手術した側の手や腕にむくみが出た状態をリンパ浮腫といいます。
手術直後にすぐむくみが出る方は比較的少ないです。リンパ浮腫は手術後、何年も経過してから発症する可能性があります。しかしリンパ液がバランスよく流れれば、リンパ浮腫はおこりません。
リンパ浮腫はどのような経過をたどるのでしょうか?
放置をすると少しずつ悪化していきます。炎症を伴う場合は、皮膚が赤くなり痛みや発熱などが出て急激に悪くなることもあります。
何年も放置した状態でも、むくみの程度がかわらないということもあります。むくみの症状や経過は個人差があります。
しかしむくみは的確な治療を受け、自己ケアすることで、症状を軽減し悪化を防ぐことができます。
初期症状にはどのようなものがありますか?
初期の段階では、手や腕などのごく一部のむくみとして始まることが多いようです。
はじめは一晩寝るとむくみがなくなっていることもあります。しかし、何回か繰り返すことによりむくみが引きにくくなります。腕が赤く腫れてしまう症状があると、急激にむくみが悪化する場合もあります。
退院後、自宅でどのようなことに気をつければよいのでしょうか?
(1)腕の負担を少なくしましょう
・重いものを長時間持たない。腕や手首に荷物をかけて持たないようにしましょう。
・肘枕をして寝ないようにしましょう。
・手・肘・腕・肩を締め付けるアクセサリーは身に付けないようにしましょう。身に付けた時に痕の付かないものであれば使用して構いません。
・夜寝る時などは、手術した側を下にせず、仰向けか手術した側を上にして休んで下さい。
(2)感染や炎症を予防しましょう
・急激な日焼けは避けましょう。
・ケガ、やけど、虫刺されは感染や炎症の原因になります。
これらを避けるために長袖の服を着たり、虫除けスプレーを用いるなどの予防的行動をとってみましょう。
・ガーデニング時や刺激の強い洗剤を用いて掃除をする場合はゴム手袋を使用しましょう。
・ケガ、やけど、虫に刺された部位が、赤くはれてきた場合には専門的な対応が必要になります。このような時は、まずお電話にて状況をお知らせ下さい。
(3)がんばりすぎないようにしましょう
・寝不足や疲れ気味の時には、むくみが出やすくなります。疲労感を感じたときは休養をとリ、体調を崩さないように健康管理をしましょう。
・お盆や年末年始など家事が忙しい時期は、むくみが出やすい時期でもあります。掃除、料理、買い物と腕やからだに負担のかかることが多くなります。短期間に集中して作業を行わず、分担するなどの工夫をしましょう。
・体重をコントロールしましょう(※標準体重を維持しましょう)。
※炎症症状とともにむくみがある場合は、マッサージは行わないようにしましょう。むくみが悪化する場合もあります。
手術した方の腕が赤く熱をもって腫れたらどうしたらいいでしょうか?
ひどくなると発熱を伴うこともあります。熱があり赤く腫れていたら外来診療時間に、乳腺外来にご連絡下さい。このときに無理にマッサージやもみほぐしなどを行うと、むくみや蜂窩織炎が悪化する場合がありますので行わないようにしましょう。
※手術後は両腕の左右差を定期的に触ってみて下さい。むくみが出たり、腕に違和感が出た場合は乳腺外来スタッフにご相談下さい。